埼玉県所沢市で15日、市立小中学校へのエアン設置の是非を問う異例の住民投票実施、即日開票され、賛成5万6921票、反対3万47票で、賛成上回った。しかし、投票率は31.54%にとどまり、賛成票はエアン設置実現の目安だった投票資格者総数の3分の1に届かなかった。

市立小中学校へのエアン設置の是非を問う住民投票で、開票作業をする人たち（15日、埼玉県所沢市民体育館）=共同
藤本正人市長（53）は「れから内容を分析する、高くはない投票率残念だ」とのメントを出した。

投票結果に法的拘束力はない、藤本市長は住民投票前に「賛否いずれか投票資格者総数の3分の1以上に達した場合は結果に従う」と表明していた。保護者らは「市長はどのような結果でも重く受け止める必要ある」と話しており、市長の判断注目される。

市は2006年、付近にある入間基地を離着陸する航空自衛隊機の騒音対策として、防衛省の補助を受けて全校に冷房を設置する方針を決めた。

しかし、1校に設置された後の11年に初当選した藤本市長、「快適さを最優先した生活を見直すべきだ」「東日本大震災を機に自然と調和した生き方への転換を」と唱え、12年に方針を撤回した。

所沢市立小中学校のうち29校は、騒音を防ぐため密閉性の高い窓など備えられている。基地から約2キロの狭山ケ丘中の生徒を中心に「夏は扇風機無意味なほどの蒸し暑さ。窓を開けると10分おきに騒音あり、先生の声聞き取りづらい」などの声相次いだ。

保護者らは「（エアン設置は）快適さのためではなく騒音対策。学習権の侵害だ」と訴え、署名を集めて住民投票を実現させた。

投票資格者総数は27万8248人だった。

埼玉大の斎藤友之教授（行政学）は「住民投票は市町村合併や原発建設など大きな議題多く、地元に密着した問題は珍しい、教育は地域社会全体に関わる大事な争点だ」と指摘している。〔共同〕

間引いてんだよ